「思考の死角は自我にあり」

ボクノココロ

「思考の死角は自我にあり」

人間の思考には、しばしば「死角」が生まれる。

死角とは文字通り視覚的にも意識的にも捉えきれない領域を指します。

日常生活における誤判断、対人関係でのすれ違い、自己理解の限界――これらの多くは単なる情報不足や知識の欠如ではなく、もっと根本的な内部構造、即ち「自我」という存在に起因している。

自我(エゴ)は心理学的には自己認識を担う中心的な構造である。

フロイトは自我を「イド(本能)と超自我(道徳意識)の間で現実的な均衡を保とうとする存在」と定義した。

しかし現代認知科学においては自我は単なる「均衡役」ではなく「情報のフィルター」としての性質を強く持つ事が明らかにされている。

脳は膨大な情報を一度に処理できない為、無意識の内に情報を取捨選択している。

この選択を行うのが自我であり、それは自己保存を最優先とする。

本来、外部の情報はニュートラルであるべきだが、自我は「自分に都合のいいもの」を好み「自己像を脅かすもの」を無意識に排除する。

これにより人は自らの見たいものしか見ず、聞きたいものしか聞かないという偏向に陥る。

心理学ではこれを「認知バイアス」と呼びます。

特に「確証バイアス(confirmation bias)」は自分の信じたい仮説を裏付ける情報ばかりを集め、反証を無視する傾向を指す。

さらに「自己奉仕バイアス(self-serving bias)」によって人は成功を自分の能力のおかげと捉え、失敗を外部要因のせいにしやすい。

このように自我は自己正当化の装置として機能し続ける。

神経科学の研究によれば自己に関する情報を処理する際、脳の「内側前頭前野(medial prefrontal cortex)」が活性化する。

この部位は「自己優位性効果(self-enhancement)」に関与し自分を平均よりも優れていると無意識に評価する傾向を生み出す。

自己肯定感を守る為に脳そのものが意図的に世界を歪めているのである。

だが、ここにこそ「思考の死角」が存在する。

自我は生存戦略として有効でありながら同時に認識の透明性を曇らせ自己成長の妨げにもなる。

自分自身の偏りを自覚できない限り人は本質的な学びに至ることが出来ず同じ過ちを繰り返す。

心理学者カール・ロジャースは、「自己受容」を提唱した。

自己を防御するのではなく、ありのままを受け入れる姿勢こそが、成長への道を開くと説く。この考えは近年のマインドフルネス研究とも共鳴している。マインドフルネスとは瞬間瞬間の体験を無判断的に観察する態度であり、そこでは「自我のフィルター」を一時的に脇に置くことが求められます。

科学的な実験でもマインドフルな状態にある被験者は認知バイアスが低減し、より正確な判断を下せることが示されている(例:Kiken et al., 2015)つまり自我を意識的に手放す事によって思考の死角は減少するのです。

結論として人間の思考における死角は情報の不足や知能の限界ではなく自我という根本的なシステムの働きによって生じる。

自我を意識し、時にその介入を見破り、手放す事――それが死角を越えて本当の理解へ至る為の鍵であると思っております。

序章:不可視の罠

人は己を知っていると信じる。

だが本当に自らを透明に歪みなく見つめる事などできるのだろうか…

日々の判断、他者との関係、未来への選択──その根幹に潜むのは驚くほど無自覚な「死角」である。

その死角は情報の不足や論理の誤りではない。

もっと根源的な、意識の中核に巣食う「自我」そのものに由来する。

第一章:心理学的考察──自我というフィルター

心理学は自我(エゴ)を「自己認識と現実の調停者」と定義する。

ジークムント・フロイトは人間の精神をイド(本能)自我(現実原則)、超自我(道徳原則)の三層構造と捉えた。

彼によれば自我はイドの衝動と超自我の制約の間でバランスを取り現実世界で適応的に生きる為の仲介役を担う。

しかし認知心理学や現代神経科学はこの図式をさらに更新する。

自我は単なる「仲介者」ではなく情報のフィルター、認識の編集者として機能する事が分かって来た。

膨大な感覚情報の中から自己保存と自己イメージの維持に役立つものを選び取り、都合の悪いものは無意識下に葬る──この機能が思考の歪みを生み出す。

例えば「確証バイアス」は自分の信じたい情報だけを集め、反対証拠を無視する傾向である。

また「自己奉仕バイアス」により、人は成功を自分の努力と結びつけ、失敗を外部要因のせいにしやすい。

これらの現象は単なる癖ではなく自我が意図的に現実を再構成している証左である。

神経科学的にも、この自己優位性は裏付けられている。

自己関連情報を扱う「内側前頭前野(MPFC)」は自分に関するポジティブな情報に対して特に強く活性化する。

つまり私達の脳そのものが「自分に都合の良い世界」を創り上げる装置となっているのです。

第二章:科学的視点──死角の不可避性

ここで重要なのは思考の死角は個人の努力だけでは克服できないという点です。

人間の脳は、エネルギー効率を最大限に高める為、膨大な情報処理のコストを削減する構造を持つ。

そのため、選択的注意(selective attention)と呼ばれるメカニズムが働き、脳は常に「見るべきもの」だけを見ている。

心理学者ダニエル・カーネマンは著書『ファスト&スロー』において、人間の思考には「速い思考(直感的・自動的)」と「遅い思考(論理的・意識的)」の二層が存在すると論じた。

普段の私達は、ほとんど無意識に「速い思考」に依存し、その中で自我に都合のいい結論へと誘導されている。

「論理的に考えよう」と努力しても、その土台自体が歪んでいる限り死角は残る。

これに対し、近年注目されるのがマインドフルネスやメタ認知(metacognition)である。

これらは「思考そのものを一歩引いた場所から観察する」技術であり、自我の介入を意図的に弱め、歪みを最小限にとどめる試みです。

第三章:哲学的探求──自己と世界の分離

哲学もまた、この「死角」の問題を深く扱って来た。

古代ギリシアのソクラテスは「無知の知」を説き、己の無知を自覚する事こそ智慧への道と考えた。

自分が自分を完全に知ることは不可能である──この認識が、思考の透明性への第一歩であると…

また近代哲学においてデカルトは「我思う、故に我あり(Cogito, ergo sum)」と宣言した。

だが、この確実性すら実は自我の内側からしか確信できないものである。

外界は存在するか、他者は存在するか──これらはすべて、自我の「思考という牢獄」から推測するしかない。

私達は根源的に自己中心的な認識世界に閉じ込められているのである。

マルティン・ハイデガーに至っては、「存在とは自己自身への気付きのプロセスだ」と喝破した。

彼は「現存在(Dasein)」という概念を用い、世界と自己が相互に規定しあう関係性に光を当てた。

自己を知るとは単に内面を覗き込む事ではなく世界との関係の中で絶えず自己を解き明かしていく運動なのです。

第四章:文学的省察──言葉と死角

文学はこの「死角」を、しばしば比喩と物語によって照射してきた。

ドストエフスキーの『地下室の手記』の主人公は自己嫌悪と自己正当化を行き来しながら内的世界の混沌を赤裸々に描き出す。

「私は病んでいる。私は悪い人間だ」と語りながら彼は尚、自らの物語を通して自己を守ろうとする。

自己を直視しようとすればする程、言葉は欺瞞を孕み思考はさらなる死角へと迷い込む。

また芥川龍之介の短編『羅生門』においても人間の倫理的選択の裏にある冷徹な自己保存本能が暴かれる。

極限状況において善悪を超えて自己を正当化する力学──それはまさに自我の働きにほかならない。

終章:死角を越えるために

思考の死角は、完全には消し去ることが出来ない。

自我というフィルターを完全に外す事は生物としての自己保存本能に反するからである。

しかし、だからこそ私達は自覚的でなければならない。

自我が常に世界を歪め、自己を守ろうとする存在である事を絶えず意識の俎上に載せ続けなければならない。

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その為に有効なのは
• 自己を絶対化しない事
• 異なる視点に自らを晒す事
• 他者との対話を通じて自己の死角を映し出す事
• 何よりも自分が「見えている」と信じるその瞬間に疑いを持つ事

死角は自我に宿る…

しかし自我を透かしてその存在に気付く時…

私達はほんの一瞬、死角を越えて「世界そのもの」に触れる事が出来るのかも知れない…

ひで坊 より

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